私はXでこのポストを見た時に初めて「静かな退職」という表現を知ったのですが、「いろいろな要素が凝縮されている秀逸な表現だとな」思ったのが第一印象です。
【主張】「仕事はできるだけサボった方が勝ち」広がる“静かな退職”https://t.co/SyECp09jfe
社会人3年目の女性は「(PCに文字を)打ってる感出したり」と、日々サボっていたそう。現在休職中だといい、「適応障害って診断書もらって。今は会社に全く行っていないけど給料の8割を貰ってます」と話す。 pic.twitter.com/g3YjWEBEsk
— ライブドアニュース (@livedoornews) August 26, 2024
ただ、ポストにあるように、20代の社会人入門期に「静かな退職思考」を持つことには絶対に反対(理由は本記事後半に書いています)なのですが、30代以降であれば、静かな退職思考を持つこと自体にはあまり違和感がないかなと。
というのも、私も30代~40代の現役サラリーマンであり、転職2回を経験して、3つの異なる企業で試行錯誤しながら働いてきた経験の積み上げの結果、自分の中に生まれてきた思考や価値観を一言に集約していると感じたからです
一般的に「退職」と聞くと、定年まで勤めあげた60代の会社員を想起しますよね。
そんな静かな退職について、主に以下の内容について筆者の思うところを書いていきたいと思います。
- 静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う
- 静かな退職のメリット・デメリット
- 20代から静かな退職思考を持つのは危険だと思う
ということで、思うところをつらつらと書いていますので、良ければ読んでくださいw
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う
私は、「静かな退職」は今を生きるサラリーマンなら誰もが当たり前のように感じる発想だと思います。
そのように思う理由は主に以下の通りで、筆者自身が3社で会社員をやってきた経験から実際に感じたことです。
- 仕事を頑張っても報われない
- 出世はコスパが悪すぎる
- 頑張って給料を上げると損をする
- 失った時間は戻ってこない
- 収入を得る方法が多様化した
もう少し具体的に見ていきます。
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由①: 仕事を頑張っても報われない
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由①つ目は「仕事を頑張っても報われない」です。
「報われない」の捉え方は様々かと思いますが、基本的には自分の頑張りやアウトプットに対する会社からの報酬や評価が低いケースを想定しています。
具体的には、
- 基本給やボーナスが思ったよりも増えない
- 昇進の約束が反故にされた
- 以前から希望を出していた異動願いが通らない
といったところです。
特に日本企業で働いたことがある人なら、誰でも一度は「こんなに頑張ったのに評価されない」と感じたことがあると思います。
私自身も、コミットした目標以上の成果を達成し、事前面談でも昇進の約束があったにも関わらず、期末の評価面談では白紙撤回されたことがあり、頑張るだけ無駄だなと感じたことがあります。
毎年のように、自分の期待値を下回るような対応が続くと、静かな退職思考に陥るのは当たり前、というか、いたって自然な流れだと感じます。
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静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由②: 出世はコスパが悪すぎる
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由②つ目は「出世はコスパが悪すぎる」です。
私が社会人になる前までは、「出世=年収アップ」みたいなイメージが浸透しており、出世街道を駆け上がっていくことが一種の会社員のステータスとなっていましたが、実際に社会に出て働いてみると、出世に対するイメージはガラリと変わりました。
実際に出世をした人が置かれている状況や言動を見聞きすることで、得られるものよりも失うものの方が多いと感じることが多かったからです
3つの会社での就業経験を通して実際に見てきた管理職は、本当に以下のような人が多かったです。
- 体を壊してしまった人
- 毎日、会議や上層部への報告で追われている人
- 毎週のように接待、休日は社内コンペをしている人
- モンスター部下と上層部の板挟みにあって、手を焼いている人
- 管理職の責任範囲や業務範囲に対する報酬が少なく割に合わないと嘆く人
ぶっちゃけ、出世は美化されすぎているので、ほどほどに働いてほどほどの給料を得ながら、人生を充実させるという方向性にシフトする人が増えるのは必然的な流れかと。
むしろ、「出世しない人の方が勝ち組」だと心の底から思います。
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静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由③: 頑張って給料を上げると損をする
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由③つ目は「頑張って給料を上げると損をする」です。
頑張った人は本来、報われるべきなのですが、日本では頑張った人は損する仕組みになっています。
横並び思想を義務教育期間中に植え付けてきた日本の社会構造の問題ですね。
私は年収300万円ほどからキャリアをスタートし、将来の経済的不安を解消する為に、スキルアップや転職を通じて、かなりの努力をして年収を1,000万円ほどまであげてきたのですが、頑張って給料を増やしても手取りが増えなくなる事実に愕然としました。
むしろ、稼ぎすぎると、
- 児童手当が支給されない
- 高校授業料無償化の恩恵が受けられない(年収910万円未満の世帯が対象)
- 小児医療費助成を受けられない
- 保育園の保育料は世帯年収によって変わる(収入が多いほど保育料が高くなる)
などの罰ゲームがあります。
会社に貢献をし、給料を上げても、税金や社会保険料が増えて、手取りが増えず、さらに、追い打ちをかけるように上記のような恩恵を受ける権利がなくなるのは、ひどい仕打ちとしか言いようがありません
静かな退職思考になるのは当たり前です。
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由④: 失った時間は戻ってこない
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由④つ目は「失った時間は戻ってこない」です。
残業や休日出勤なんかをしていると、自分の趣味の時間、友人や家族との時間などが全て奪われ、あっという間に1年が終わります。
そして、日々の生活の為に働く、「ライスワーク」を続ける社畜としての新たな1年が始まり、そして、終わります。
毎日、仕事に忙殺されていると気づきにくいのですが、文字通り自分の「時間」は殺されていきます。
その時々にしか経験できないことやイベントを「仕事」の都合で失いたくないですよね。
時間の価値を理解している人は、最終的に静かな退職思考に行き着くのではないかと思います。
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由⑤: 収入を得る方法が多様化した
静かな退職は当たり前に出てくる発想だと思う理由⑤つ目は「収入を得る方法が多様化した」です。
昔は、「お金を稼ぐ=サラリーマンとして働く」という選択肢しかなかったので、生活を安定させる為には働くしかありませんでした。
でも、今はインターネットやスマホなどのプラットフォームを誰もが持っていますし、生成AIが到来し、加速度的に時代が変化してきています。
- Youtube
- インスタグラム
- ティックトック
- ブログ
- 生成AI
など、個人でプラットフォームを使ってコンテンツを量産し、稼ぐのはもはや当たり前の時代になっています。
また、2016年以降、国が副業を推進していることも静かな退職思考を推し進めている要因の1つかもしれませんね。
>>>副業しないと生きていけない?【結論、どんな生活をしたいか次第】
副業しないと生きていけないって本当? 副業しないと生きていけないような兆候とかあるのかな? そんな疑問に答えます。 私の周りにも […]
静かな退職のメリット
静かな退職のメリットを見ていきましょう。
- 仕事のストレスが劇的に減る
- 自由に使える時間が増える
- 仕事以外のスキルアップに挑戦できる
静かな退職のメリット①: 仕事のストレスが劇的に減る
静かな退職のメリット①つ目は「仕事のストレスが劇的に減る」です。
評価を気にせずに働けると、精神的にも身体的にも自分の限界を超えないように、自分で自分をコントロールしながら働くことができます。
なので、疲れすぎたり、精神的なプレッシャーを感じることが減り、大きなストレスなく、長期間働ける環境を作ることが可能になるのは、大きなメリットですね。
静かな退職のメリット②: 自由に使える時間が増える
静かな退職のメリット②つ目は「自由に使える時間が増える」です。
自分の働く時間を決めて、その範囲内で仕事をすることで、仕事とプライベートの時間をしっかり分けることができるのは大きなメリットです。
残業や休日出勤などが減ると、ストレスが減るだけでなく、時間的な余裕が出てきます。
なので、今までは我慢していた自分の健康や趣味、友達や家族との時間を満喫できるようになるので、心も体もリフレッシュできます。
適度なワークライフバランスを保つことが可能にあるので、家庭や友人との時間、自分自身の趣味への時間も大切にでき、生活の質が圧倒的に向上します。
>>>【必見】 QOLを上げる為に30代までにやるべきことを徹底解説~20代でやれば先行者優位に!?~
勢いだけで何とかなってきた20代とは異なり、仕事も生活も目まぐるしく変化をする30代。 予め対策をしておきQOLを上げる30代を過ごすか 急激な変化の濁流にのみ込まれQOLを下げ続ける30代を過ごすか[…]
静かな退職のメリット③: 仕事以外のスキルアップに挑戦できる
静かな退職のメリット③つ目は「仕事以外のスキルアップに挑戦できる」です。
テクノロジーが進化し、変化の激しい現代では、今ある仕事が将来も存在している保証はありません。
働き方や価値観も多様化しているので、従来の価値観に縛られず、自分自身で生き方を選択しやすい時代になってきています。
なので、静かな退職により「時間」を確保することで、自分自身の選択肢を増やすための新たなスキルアップに挑戦できるのは大きなメリットだと思います。
静かな退職のデメリット
静かな退職のデメリットは主に以下の2点が考えられます。
- やる気がないと思われる
- 中長期的に、変化が激しい時代で生き残るのが厳しくなる
静かな退職のデメリット①: やる気がないと思われる
静かな退職のデメリット①つ目は「やる気がないと思われる」です。
なので、周りからは「やる気がない」と思われたり、上司から評価が低くなる可能性も高くなります。
相対的に成果に対する差も出てきますし、自身の目標達成も厳しくなるかもしれません。
そうなると、昇進やボーナスなどのチャンスは減るかもしれず、もしかしたら会社側からは減給などの提案があるかもしれません。
また、一緒に働く人たちが、積極的に頑張っている中で、自分だけが静かな退職をしていると、他の人たちが業務負担を感じることで、チーム内の雰囲気が悪化したり、業務効率が下がる可能性がありますね。
静かな退職のデメリット②: 中長期的に、変化が激しい時代で生き残るのが厳しくなる
静かな退職のデメリット②つ目は「中長期的に、変化が激しい時代で生き残るのが厳しくなる」です。
新しい仕事に取り組む機会がなくなると、スキルや知識の習得が困難になり、経験の幅も減ります。
なので、自分自身をアップデートできず、誇れる実績も経験もなく、労働市場での価値が相対的に下がることで、市場での生き残りが困難になる可能性があります。
静かな退職は、短期的には楽をできるかもしれませんが、自分の成長が止まることのリスクを考える必要はあります。
私は静かな退職思考は30代後半から強く持ち始めましたが、デメリットやリスクを打ち消す為の対策や準備は並行して行ってきました
20代から静かな退職思考は危険だと思う
本記事の冒頭にも書きましたが、個人的には、20代から静かな退職という思考を持つことはハイリスクだと思っています。
なぜなら、20代という若い段階でこうした思考を持つことは、自分自身の「人生の選択肢」を減らしてしまい、自分で自分の首を絞めることに繋がりかねないからです。
- 労働市場で生き残れなくなるリスク
- ライフステージの変化に柔軟に対応できなくなるリスク
があることは、想像しておかないと取り返しがつかなくなると思います。
この方のXのポストが非常に的を得ていると思います。
20代で静かな退職ムーヴをキメるということは、その先に待ち受けるのは何のスキルも技能も持たない30代、40代であり。
そんな感じに仕上がった方が、何かの拍子にハシゴが外れて会社から放り出されたら、厳しいだろうなぁとは思う。— seaside (@seaside_amie) August 26, 2024
もう少し具体的に見ていきましょう。
20代から静かな退職思考は危険①: 労働市場で生き残れなくなるリスク
20代から静かな退職思考は危険①は、「労働市場で生き残れなくなるリスク」があるから。
20代というのは、一般的には、大学を卒業してから「社会人」として仕事をスタートして間もない年代で、仕事や社会というものを学び、覚えるステージです。
そんな超アーリーな段階で、「自分は出世する気もないし、給料を上げる気もないから、仕事は最小限に抑えます」みたいなスタンスで過ごすと30代以降に人生を詰むリスクが出てくると、個人的には思います。
理由を箇条書きすると、以下の通り。
- 仕事を通じた経験値が蓄積できない
- 社会で通用する実践的なスキルが身に付かない
- 給料が全く上がらず、最低賃金で満足いく生活を得られない
- 転職市場での市場価値が上がらない
- いざという時に、転職できない
20代かか静かな退職思考を持つというのは、市場からのドロップアウトを自ら選択するということとほぼ同義です。
「働きたくても働けない」という状況になってからは「後の祭り」なので、よほどのことがない限りはこうした思考は持たない方が賢明です。
20代から静かな退職思考は危険②: ライフステージの変化に柔軟に対応できなくなるリスク
20代から静かな退職思考は危険②は「ライフステージの変化に柔軟に対応できなくなるリスク」です。
ライフステージの変化というのは、具体的には主に以下の通りです。
- 結婚
- 出産/家族を持つ
- 転勤
- 住宅購入
早い人は20代の後半から30代前半にこうしたライフステージの変化を迎えます。
ライフステージが変わると、今まで自分が見てきた景色がガラりと変わり、仕事や人生観などにも変化が出てきます。
そして、何よりも「お金」の重要性に気づきます。
20代の頃から静かな退職思考に陥ってしまうと、本当に必要な時に土台となる「お金」を稼げなくなり、大切な人を守れなくなるリスクがあるんですね。
人生は100年時代に突入しているので、なおさらです。
>>>人生100年時代を生きる上で真剣に考えるべき事~どちらの選択をしますか?~
「人生100年時代」というフレーズを、最近よく耳にするようになりました。 医療やテクノロジーが進歩し、寿命が伸びる長寿化が前提になっている事は、個人の人生設計に大きな影響と変化を与えます。ひと昔[…]
戦略的な静かな退職のやり方
最後に静かな退職のやり方をみていきましょう。
個人的には、静かな退職は一時の気分で決定するのではなく、戦略的かつ段階的に行っていく必要があると思います。
なので、30代~40代に静かな退職を目指すのが理想的かつ現実的なゴールになると考えます。
ゴールを達成するために、やるべきことは主に以下の通りです。
- 20代で給与収入を上げる
- 30代までに収入を複線化しておく
具体的に見ていきましょう。
静かな退職のやり方①: 20代で給与収入を上げる
静かな退職のやり方①つ目は、「20代で給与収入を上げる」です。
静かな退職を30~40代で実行することをゴールにしたら、20代のうちに給与のベースを可能な限り上げておくことが望ましいです。
なぜなら、静かな退職後のベース給与は高ければ高いほど良いからです。
その為には、「何をしたら給与が増えるのか?」を徹底的に考えることが重要になってきます。
実際、
- 給与ベースの低い業界に属する会社でどれだけ成果をあげても、給与は伸びにくい
- 昇給率が低い会社で努力しても、給与は増えない
- 誰もができるスキルしか持ってないと、差別化が難しい
という現実があります。なので、私の場合は、以下を考えて実行してきました。
- 労働市場で評価の高いスキルを上げる(英語)
- 給与の高い業界に転職をする
どちらも20代の頃に(2回目の転職は30歳ですがw)、かなりアクセルを踏んで、歯を食いしばりながら実行しました。
その結果、
- 英語というスキルを磨いたことで、業界&キャリアチェンジに成功
- 業界を変えたことでベース給与がアップ(300万円➡500万➡750万円ほどに)
に成功しています。
20代というのは、社会人としての修行期間です。
この期間中に多くの経験とチャレンジをしたことは、ポジティブに受け止めてもらえやすい&失敗も許容されやすいので、人生のボーナスタイムです。
逆に、20代に苦労を先送りしてチャレンジをしないと静かな退職の道を切り開いていくのはかなり厳しくなると思います。
静かな退職のやり方②: 30代までに収入を複線化しておく
静かな退職のやり方②つ目は「30代までに収入を複線化しておく」です。
給与収入のベースアップに成功したら、減給や降格にならない程度に仕事をこなし、次のステップに進みます。
具体的には、
- 副業
- 資産運用(株や仮想通貨)
によって、収入源を増やすことに時間と労力を割いていきます。
私の場合、
- ブログ副業
- 米国株投資&仮想通貨投資
でポートフォリオを増やす事で、会社への依存度を下げる努力をしてきました。
特に資産運用は必須です。
労働で投資資金を稼ぎ、運用していく。
このサイクルを繰り返し、ポートフォリオを大きくしていくことが30代、40代での静かな退職実現に向けてのポイントになってきますね。
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以上、静かな退職について現役30代サラリーマンが思うこと~殴り書きしてみた~でした!!