テスラの2020年第4四半期決算と株価推移~通年黒字化を達成、完全自動運転まで射程圏内~

  • 2021年1月30日
  • 2021年5月20日
  • US.STOCK

本記事では、今後の投資銘柄選定や、類似銘柄の株価動向予測やパターン分析などを参考にする為に、個人的に気になる企業や市場参加者の注目度が高い企業の「決算結果」、「決算発表後の株価の動き」等について纏めています。

 

【想定読者】 株式投資初心者・米国株投資初心者・これから株式投資を検討している人

 

テスラは2021年1月27日に2020年第4四半期・通期決算を発表しました。

 

テスラは電気自動車メーカーの枠を超えて、圧倒的な存在感と成長スピードを誇り、2020年には株式分割を実施、S&P500へ正式に組み入れられました。

 

 

テスラの過去の事情を知らない人は、下記の記事を読んでから、本記事を読んで頂けるとテスラの凄さがさらに伝わると思います。

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テスラは電気自動車メーカーではないという衝撃と異次元の構想【3分で分かるテスラの凄さ】

 

さて、テスラの2020年第4四半期の「決算内容」や「決算後の株価の動き」はどうだったのでしょうか?

 

本記事では、テスラの2020年第4四半期決算結果と決算内容について、纏めています。

 

本記事を読むことで、テスラの決算結果や決算時の発表内容、決算前後の株価推移を知る事ができます。

 

テスラの2020年第4四半期決算と株価推移~通年黒字化を達成、完全自動運転まで射程圏内~

テスラの決算結果:2020年Q4と通年決算

テスラの決算:2020年第4四半期

テスラの決算結果について、詳しく見ていきましょう。

 

  1.  売上とEPS
  2.  販売台数
  3.  利益とキャッシュフロー

 

1つずつ見ていきましょう。

 

テスラの決算結果①: 売上とEPS 【2020年第4四半期】

テスラの2020年第4四半期決算の売上とEPSのコンセンサス予想値と結果はこちら。

 

第4四半期予想結果
EPS$1.01$0.80
売上$10.32B$10.74B

 

売上はコンセンサス予想を上回ったものの、EPSがコンセンサス予想を約$0.2下回る結果になっています。

売上高成長率は、前年同期比で+46%と堅調に推移しています。

 

気になるEPSの下振れ理由ですが、株式報酬型ストックオプション(Stock-Based Compensation)が、前期の$400Mから$633Mに大きく上振れした事が原因のようです。

 

テスラの決算結果②: 販売台数 【2020年第4四半期】

テスラ販売台数

テスラの2020年の年間販売台数は50万台数を超え、これまでの累計販売台数と同じ台数を、たったの1年間販売する事に成功しています。

 

テスラの2020年第4四半期の販売台数は、モデルS/モデルXとモデル3/モデルYを合わせて180,667台でした。

 

 

テスラの生産台数と販売台数の前年同期比比較は以下の通りです。

2019 Q42020 Q4成長率
生産台数104,891179,757+71.4%
販売台数112,095180,667+61.2%

 

テスラは生産台数を大幅に増やした事で、販売台数も大きく伸ばし、前年同期比でそれぞれ+71.4%、+61.2%と大きな伸びをみせています。

 

テスラ車種別の生産台数と販売台数の内訳は以下の通りです。

 

テスラのモデルS/モデルXの生産台数と販売台数

2019 Q42020 Q4成長率
モデルS/モデルXの生産台数17,93316,097▲10..2%
モデルS/モデルXの販売台数19,47518,966▲2.6%

 

生産台数も販売台数も成長率が下がっていますが、テスラのMODEL SとMODEL Xの生産拠点であるフリーモント工場の製造を一時的に止めていた事が少し影響しているだけです。

 

工場を止めていた理由は、MODEL SとMODEL XのNEWモデルの生産で、新しいバッテリーパックやドライブユニットなどが搭載さ量産体制に入れば、自然と回復してくると想定されます。

 

なお、フリーモント工場の再開は2021年Q1を予定。

 

テスラのモデル3/モデルYの生産台数と販売台数

2019 Q42020 Q4成長率
モデル3/モデルYの生産台数86,958163,660+88.2%
モデル3/モデルYの販売台数92,620161,701+74.6%

 

テスラのモデル3とモデルYは生産台数、販売台数ともの大きく伸びています。

 

テスラが上海に建設した上海ギガファクトリーが本格稼働し、量産体制に入る事ができた事が要因です。

 

上海ギガファクトリーではモデル3を年間25万台のペースで生産可能になっています。2021年1月1日に中国国内産SUVとして発売されたばかりの「モデルY」については、これから量産化に向けた整備をしていく段階。

 

いずれにしても、モデル3とモデルYの引き合いは強く、欧州への本格参入も検討している事から、上海ギガファクトリーからヨーロッパやAPACなどへの出荷台数が増えていく見込みです。

 

本格的な欧州展開を見据え、テスラは新たな工場を2021年の夏頃にベルリンで稼働予定です。ベルリンギガファクトリーが順調に稼働すれば、テスラの年間生産台数、販売台数は100万台を超える見込みになっています。

 

さらに、アメリカでもテキサスギガファクトリーが2021年後半から生産開始予定です。

 

上海ギガファクトリーをたったの1年で立ち上げ、量産体制に入った実績が証明しているように、ベルリンギガファクトリーとテキサスギガファクトリーも圧倒的なスピードで稼働してきそうです。

 

テスラの販売台数に直結するキーファクターである工場の生産能力は、着実に確実に拡大している事が分かります。

 

テスラの決算結果③: 利益とキャッシュフロー【2020年第4四半期】

テスラの経営状況を示す、利益とキャッシュフローを見てみましょう。

 

テスラの第4四半期決算時のフリーキャッシュフローは1.9Bと予想値の2倍を記録し、キャッシュフローのうち、企業の手元にある現金預金などを示す「現金および現金同等物」は19Bとなっています。

 

2019 Q42020 Q4成長率
営業利益(Operating Income)$369$575M+55.8%
純利益(GAAP)$105M$270M+157.1%
フリーキャッシュフロー(FCF)$1,013M$1,868M+84.4%
現金および現金同等物$6,268M$19,384+209.2%

 

純利益は5四半期連続で黒字化を達成し、2020年の1年間で$721Mの黒字を確保しています。

 

過去3年間を振り返ると、純利益(損失)は年間ベースでは赤字でした。

 

  • 2017年:▲$1,962M
  • 2018年:▲$976M
  • 2019年:▲$862M
  • 2020年:$721M

 

純利益が年間ベースで黒字化したのは2020年が初めてになります。

 

2020年第4四半期の営業利益が$575Mと前年同期比で+55.5%と大きく改善し、営業利益が年間ベースで黒字化した事が要因です。

 

新工場の建設などに費用をかけていたのですが、最終的に現金及び現金同等物は前年同期比の+209%と約3倍に増加しています。

 

数字からも、2020年はテスラにとってビジネスが軌道に乗り始めた大きな転換点になった事を象徴しています。

 

テスラ決算時の注目ニュース:完全自動運転は2021年に達成可能と確信

テスラ完全自動運転(FSD)

 

テスラ決算発表時に、社長であるイーロンマスク氏は、「レベル5の自動運転を2021年中に達成できると確信している」と発言しました。

 

人がハンドル操作をする事なく、完全に自動で安全に目的に辿り着くことができる完全自動運転、FSD(Full Self Driving)を2021年に実現できると確信していると言っています。

 

正直、テスラの社長イーロンマスク氏の発言は、単なるリップサービスに聞こえません。

 

完全自動運転が実現すれば、ロボタクシーや地下道を自動運転車が走るボーリングカンパニーといったイーロンマスクの次の構想の実現性がグッと高まります。

 

国策として電気自動車に注力している中国で最も売れているのはテスラ車ですが、その中国でのFSDオプションの利用はまだ1%程度。

https://twitter.com/JimmyGooGoo/status/1354634343713566721?s=20

 

ただ、ベータ版のFSDソフトウェアは急速に改善しているのと、FSDのサブスクリプションも1か月~2か月後にサービス開始予定なので、安全性の高まりとFSD利用の選択肢が増える事で、ユーザー数は高まる事が期待されています。

 

テスラの決算前後の株価の動き

テスラの時価総額はトヨタの2倍以上テスラの決算前後の株価の動きを見ていきましょう。

 

前回の第3四半期決算が発表された2020年10月21から、今回の第4四半期決算発表までの約3か月間の株価の動き、決算発表当日の株価の値動きを見てみましょう。

 

株価推移は下記の通りです。

テスラの決算後の株価推移2020年Q3からQ4

 

前回決算発表時の家具かは約$450付近でしたが、2020年第4四半期決算前には株価は一時$900にタッチしており、この3か月間でテスラの株価は約2倍の上昇を見せています。

 

第3四半期決算の結果が良好だった事も要因の1つですが、S&P500への組み入れというビッグニュースも株高を加速させた大きな1つの要因となります。

 

テスラのS&P500への組み入れは2020年12月21日に行われましたがテスラのS&P500への組み入れの発表があった11月16日からS&P500組み入れ当日までに株価は大きく動きました。当時の様子は下記の記事に詳しく纏めています。

 

>>>テスラ㊗S&P500採用!!~株価はどう動いた?ニュース発表から組入れまで株価の動きを徹底検証してみた~

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テスラの決算発表後には株価は売り込まれ、▲5%近く下落しました。

 

テスラ決算発表時は、米国株マーケット全体の地合いも悪く、ダウやナスダックも軒並み下落しています。

投資家の不安心理を示す「恐怖指数VIX」は前日の「22.96」から+61.64%の「37.21」に驚異的な上昇を記録し、2020年10月30日以来の高水準となり、株価暴落の警戒感が高まっている状況でした。

 

翌日の2021年1月28日には、JP Morganによるダウングレードが発表されました。

 

正直、テスラにとっては、ダウングレードとか、あまり関係ないですね。

 

驚異的な株価パフォーマンスを叩き出し、現代版のバフェットと呼び声の高いキャシーウッド氏が率いるArkは、下がったところでテスラ株を拾っています。

 

テスラの2020年第4四半期決算と株価推移~通年黒字化を達成、完全自動運転まで射程圏内~:まとめ

テスラの2020年第4四半期決算結果と株価の動きについて見てきました。

簡単に振り返ってみましょう。

テスラの2020年第4四半期決算結果は、売上はコンセンサス予想を上回ったものの、EPSは株式報酬費用計上によりコンセンサス予想を下回りました。

一般的な決算の善し悪しを図る尺度では、EPSがコンセンサス予想を下回った事で良くない決算だったと言えます。

 

しかし、テスラは2020年の1年間で上海ギガファクトリーを量産体制に持っていき、年間販売台数は50万台を記録。また、過去数年間に渡り、赤字決算を出し続けていましたが、今回初めて通年での黒字化を達成しています。

2021年は、1月1日にモデルYの中国モデルを発売。

今年の後半には、ベルリンギガファクトリーの稼働が予定されており、更なる生産能力の拡大と本格的な欧州進出が期待できます。

 

また、テスラのCEOであるイーロンマスク氏は「2021年中に完全自動運転、FSD(Full Self Driving)を達成できると確信している」とコメントした事からも、次なる構想であるロボタクシーやボーリングカンパニーといった壮大なビジョンの実現に向けて大きく近づいています。

 

今回の決算発表を受け、株価は売られ、決算発表翌日にはダウングレードを発表する証券会社もありましたが、テスラの株価の下げはむしろ限定的で、今後も伸び代しかないような期待をさせてくれる決算内容でした。

 

>>>テスラは電気自動車メーカーではないという衝撃と異次元の構想【3分で分かるテスラの凄さ】

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テスラは電気自動車メーカーではないという衝撃と異次元の構想【3分で分かるテスラの凄さ】

 

以上、テスラの2020年第4四半期決算と株価推移~通年黒字化を達成、完全自動運転まで射程圏内~でした!!

テスラの2020年第4四半期決算と株価推移~通年黒字化を達成、完全自動運転まで射程圏内~
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