本記事は、私自身が米国株投資を行う中で、新たに学んだ内容や当時の状況について記録する事を目的として纏めています。
当時の状況を表す指標や予測をレトロスペクティブに振り返る事で、「どのような状況変化があったのか?」「予測との相違点はどこか?」を把握する事が可能になり、今後の長い投資人生の中で類似ケースがでてきた際の参考材料として残しておきたいと考え、記事に纏めています。
本記事では、2020年11月17日にじっちゃま(広瀬さん)が実施したマネーパートナーズセミナー「米ドル&米国株価動向解説セミナー」で行われた内容の一部を個人的なメモとして纏めています。
非常に有益な情報が無料で提供されているので、時間の許す方は一度、じっちゃまの講義を聴く事をオススメします。
米国大統領選挙はバイデン氏勝利
2020年11月3日に行われた米国大統領選挙はバイデン氏の勝利が当確となっています。
新型コロナウイルス蔓延化での大統領選挙となりましたが、事前の郵便投票が追い風となり、民主党候補のバイデンが勝利する形になりました。
次期米国大統領となるバイデンは既に政権移行チームを編成中との事。上院と下院はねじれの為、大統領が変わっても、決定できる事は限定されるので、大統領が変わろうが相場へのインパクトは特に大きくはない。
新型コロナウイルスワクチン現状
11月9日にmRNA技術に基づく新型コロナウイルスワクチンを開発しているバイオンテック/ファイザー連合の第3相臨床試験データについてファイザーから「ワクチン接種開始後28日で90%以上の感染予防効果がある」との報道が出ました。
今は、EUA前にデータを纏めている段階で、データが纏まったらバイオンテック/ファイザー連合はFDA(米国食品医薬品当局)にEUAを申請予定。
新型コロナウイルスワクチンの承認可能性は高いと見ている。
新型コロナウイルスワクチン承認後の経済は?
バイオンテック/ファイザー連合の新型ワクチンがFDA承認されれば、景気は強くなります。
振り返ると、2020年3月、4月に新型コロナウイルスのパンデミックにより米国ではロックダウンされました。その間は、人々は外出できず、消費が冷え込むDemand Shockが起こった。
外出が出来ない為、消費機会がなく、お金を使えない状態が続き、タンス預金・銀行預金が増加。実際、Afterコロナでは銀行の預金残高は2兆ドル増えています。
ただ、ワクチンが承認されたら、MoneyのVelocityは再び加速し、お金は回り始めます。
なぜなら、承認された新型コロナウイルスワクチンを接種したら、人々は一斉に外出し始め、消費が活発化するから。
そうすると、景気が回復してくる為、経済悪化を避ける為に金融緩和を行っていたFRBは今度は逆に「金融引き締め」に転じる事が想定されます。
ただ、今は、金融引き締めを想定した株価展開にはなっていません。
なぜなら、新型コロナウイルスの感染拡大は悪化している為、目の前で起きている実体は厳しく、ワクチンが承認されても外出できるような状況ではないから。
一方で、気を付けなければいけないのは、マーケットには先見性があるという事。
将来起こる事を先取りしていく性質がある為、実体経済は苦しくてもマーケットは次のアクションを予測して動いていく事に注意する必要がある。
米国重要指標の状況
米国の経済状況、消費動向、株価に影響を与える重要指標について1つずつ確認していきましょう。
- 米国10年債利回り
- 米国の小売り売上高
- 小切手口座平均残高
- 個人の預貯金
- 非農業部門雇用者数・失業率
1つずつ見ていきましょう。
米国重要指標の状況①:米国10年債利回り
<出典:マネーパートナーズセミナー資料>
米国10年債利回りはいわゆる長期債。
上記チャートを見ると、債権利回りは右肩下がりに推移しているので、これまでは債権が買われてきた事が分かります。
債権は一般的に景気が悪い際に、安全資産として買われる為、チャートからは、「景気が悪かった」事が読み取れる。
ただし、チャートは2020年5月あたりにボトムをつけて、これまでのダウントレンドをブレークアウトしそうな局面に差しかかっている状況。
債権利回りが高いと、株は売り込まれる為。
実際、ズームビデオ、ペロトン、クラウドストライク、テラドックなどのグロース株、在宅関連、遠隔医療関連銘柄やメルカドリブレなどのEC関連銘柄は、11月9日のファイザーによるニュースで暴落しています。
米国重要指標の状況②:小売売上高
<出典:マネーパートナーズセミナー資料>
米国民がキャッシュを持っている事が分かるチャートの1つが米国小売売上高の推移。
2020年5月以降、プラスで推移している為、消費は底堅い事がデータで分かる。
米国重要指標の状況③:小切手口座平均残高
<出典:マネーパートナーズセミナー資料>
さらに、消費が底堅い理由は小切手口座平均残高が示しています。
給付金により、上記グラフのように失業中と就労中の人の残高は増えている事が分かります。
さらに、失業中の人の方が6月、7月の預金額が多い事が確認できる。これは失業者に対する手当が多く、みんなが貯め込んだ為。
メッセージとしては、「消費者のキャッシュポジションは高い」という事。
米国重要指標の状況④:個人の預貯金
<出典:マネーパートナーズセミナー資料>
個人の預貯金は2020年4月に爆上げし、所得の35%を貯金に回す結果になっています。通常は所得の7%程度なので、貯蓄率が高い事が分かります。
米国重要指標の状況⑤:非農業部門雇用者数・失業率
<出典:マネーパートナーズセミナー資料>
非農業部門雇用者数は2020年4月にドカンと落ちたが、5月以降、急速に戻っており、失業率も新型コロナウイルス蔓延前の水準までは戻っていないが、急速に戻してきている状況。
今の失業率は6.8%程度の水準。
前回の不況は、2008年のリーマンショック。リーマンショック時の失業率はピークで10%程度で、現在の失業率の水準6.8%に戻すまで丸4年かかっています。
一方、今回の新型コロナウイルスショックによる失業率ピークは14.7%とリーマンショックの時よりもひどいが、6.8%水準までにはたったの約6カ月で急速に戻している。
今回もFRBが金融緩和を行っているが、失業率が急激に戻っている状況や実体経済が改善している状況を考えると、前回のように金融緩和が長く続くとは限らない。
>>>ブル相場?金融相場?米国株投資をするなら知っておきたい大局観
ブル相場って何? 金融相場って何? 金融相場の特徴や性質、相場の難易度を知りたい そんな疑問や質問に答えます。 本記事では、私自身が米国株投資を行う中で、「過去に抱いて[…]
FRBパウエル議長は長期金利を低く抑えて景気支援をする為に、「利上げを考えていない」と言及しているが、景気が強くなった場合、政策金利の設定水準の見直しをせざるを得なくなる。
その場合、為替的には、ドルが安くなる。つまり、好景気のドル安が起こる可能性が高い。
似たようなケースはトルコリラで起こった。政策金利が実体経済に対して緩すぎた事でインフレプレッシャーを招いてトルコリラの価値を毀損した事例がある。
米ドル、米国株の中期的展望
これまでの状況を踏まえた米ドルや米国株の今後のシナリオはどうなる?
- バイデンは極端なドル安政策は行わないが、経済が好景気のドル安を誘発する可能性があり、為替は100円を試しにいく展開を予想。
- 11月~1月は例年通り、株は強いと予想
- 2021年の株式市場の利回りは+3%程度を予想
過去の経験則によると、大統領選挙就任初年度の株式リターンは弱い傾向にある。
2020年S&Pは年初来+12%のパフォーマンスだが、2021年度は上昇幅は低くなる可能性がある為、投資家は米国以外の市場、欧州など世界の株式市場に目移りし始める可能性あり。
また、バイデン大統領になる事で、トランプが根絶してきた国交の再開によりメキシコなどの経済が好転するなどの状況変化も考えられます。
好景気のドル安が起こる局面では、価値の変わらない資産が注目される為、bitcoinは、資金の逃避先としては悪くない。
米大統領選挙前の投資スタンスと米国の経済状況: まとめ
2020年米国大統領選挙前の投資スタンスと米国の経済状況についてみてきました。
簡単に振り返ってみましょう。
次期米国大統領は民主党のバイデンが確実。
新型コロナウイルスのパンデミックによる経済悪化を回避する為に、FRBや議会が金融緩和や様々な景気支援策を行ってきた結果、実体経済は急速に回復してきている。
その証拠に、米国消費者は、ロックダウン時に消費機会がなかった事や景気支援策による給付金を受領した事によりキャッシュポジションは高い状況。
さらに、前回の不況である2008年のリーマンショック時よりもコロナウイルス時のピーク失業率は高いが、失業率は急速に改善。リーマンショック時には4年かかった水準まで6か月で戻している。
その為、FRBの金融緩和が長期に続くという思い込みは持たない方が良い。
インフルエンザワクチンが承認された基準を考えると、ファイザー/バイオンテック連合の新型コロナウイルスワクチンのFDA承認確率は高く、承認されれば米国10年債利回りは急騰する可能性がある。
>>>米大統領決定!新型コロナウイルスワクチン完成直近!ワクチン完成後の相場はどうなる?
本記事は、私自身が米国株投資を行う中で、新たに学んだ内容や当時の状況について記録する事を目的として纏めています。 【想定読者】 株式投資初心者・米国株投資初心者・これから株式投資を検討している人 […]
ワクチンが承認されれば、消費は加速し、経済は周り、MoneyのVelocityは高まる為、どこかのタイミングで政策金利の見直し、金融引き締めに転じる可能性もある。
その場合は、好景気によるドル安が発生する可能性あり。
投資の観点からすると、ワクチン完成はあまりよくないニュースなのかもしれませんが、コロナを気にする事なく生活できる世界にはやく戻りたいですね。
以上、米大統領決定!新型コロナウイルスワクチン完成直近!ワクチン完成後の相場はどうなる?でした!!