- 米国株のタックスロスセリングって何?
- タックスロスセリングはいつがピークなの?
- タックスロスセリング対象銘柄の株価はどうなる?
そんな疑問に答えます。
タックスロスセリングは毎年年末にくる恒例行事の1つで、米国株投資を実施する上では知っておく必要のあるイベントです。
本記事では、「そもそもタックスロスセリングとは何か?」、「タックスロスセリングの対象となる銘柄」、「過去にタックスロスセリングで売り込まれた銘柄の下落率や1月効果のリバウンド効果」などを詳しく紹介します。
本記事を読む事で、タックスロスセリング対象となる銘柄の特徴が分かり、タックスロスセリング期間と株価の動きを把握し、最適なエントリーポイントを知る事ができます。
早速見ていきましょう。
【米国株】タックスロスセリングとは?
米国株投資家は知っておきたいタックスロスセリング(tax loss selling)とは何でしょうか?
節税のために行なう株式売却のことですね
タックスロスセリングは、毎年10月から12月にかけて起こることが多いと言われており、毎年年末に起こる恒例の現象です。
傾向としてタックスロスセリングが出やすい時期は、Thanks Giving day (感謝祭)が終わったあたりの11月末。
理由は米国株投資家がこの時期から税金対策を考え出すから。
原則12月31日までに売却を終えれば良いのですが、クリスマス前までに対応をしておきたい人が多い為、タックスロスセリングによる売り圧力は12月15日頃までが ピークになりやすいです。
11月~12月15日頃までは業績やトレンド関係なく、タックスロスセリングが起こりやすいという事ですね。
では、どんな銘柄がタックスロスセリングの対象になるのでしょうか?
【米国株】タックスロスセリングはどんな銘柄が対象になる?
タックスロスセリングの対象になりやすい銘柄の条件は以下の通りです。
- IPO後ズルズルと株価が下がっている銘柄
- 特に中小/小型株
- 多くの投資家が含み損を抱えている銘柄
大型株や老舗企業はタックスロスセリングとは関係ありません。
パフォーマンスの悪い中小・小型株が集中してタックスロスセリングの標的になるのは、「短期売却益」と「中長期売却益」で税率が異なる点が原因です。
米国では保有期間に応じて売却益にかかる税率は2パターンあります。
キャピタルゲインの種類 | 保有期間 | 税率 |
ロングタームキャピタルゲイン | 1年以上 | 0~20% |
ショートタームキャピタルゲイン | 1年未満 | 10~37% |
1年以上保有した後に売却して得た利益であるロングタームキャピタルゲインの税率は個人の所得に応じて0~20%なのに対し、1年未満の保有期間で売却して得た利益であるショートタームキャピタルゲインの税率は10~37%と高めに設定されています。
よって、その年にIPOされた銘柄でボコボコに売られパフォーマンスが悪い銘柄を損切りする事で、税率を下げる事が行われやすくなります。
上場して期間の長い銘柄や株価が横ばい推移してきたような銘柄はタックスロスセリングの懸念はありません。
【米国株】タックスロスセリング対象銘柄の株価はどうなる?
タックスロスセリング対象銘柄の株価はどの程度下落するのでしょうか?
以下のグラフが1つのパターンを示しています。
<出典:Marketwatch>
年初来でマイナスパフォーマンスの銘柄は、「Q4、特に12月に売り込まれやすい」という事を示しています。
- 上場年で年初来でマイナス
- IPO年なのにIPO価格より株価が低い水準にある銘柄
は要注意ですね。
【米国株】タックスロスセリング銘柄は1月に反発期待ができる?
【米国株】タックスロスセリング銘柄は11月~12月にかけて、売りを浴びせられるという話をしてきましたが、ピークを越えたら実は株価の急激な反発も期待できます。
この現象は1月効果(January Effect)と言われています。
タックスロスセリングと1月効果を分かりやすく示してくれているのが以下のTweetです。
I love big dips and I cannot lie… useful chart from @MarinKatusa on tax loss selling at the TSX Venture in December—which is our buying opportunity. Chart caption: “the major date things change is right around December 15th.” If trend repeats one week left of hunting season… pic.twitter.com/weboC8TXM8
— Jeff Clark (@TheGoldAdvisor) December 9, 2020
タックスロスセリングで売られた銘柄は、リバウンドしやすい為、タイミングを見極めて投資をすれば利益を得やすいとも言えます。
例えば、自動車保険を取り扱い2020年10月末にIPOでナスダックに上場したROOTは、タックスロスセリングの影響を受けた銘柄の1つとして有名です。
そんなROOTの2020年10月27日~2021年4月までの株価チャートは以下の通り。
チャートを見ると、10月末~12月中旬(15日あたり)までキレイに株価が右肩下がりで推移している状況が分かります。
10月28日の上場初値は$28でしたが、12月15日時点の株価は約$14と、約▲48%の下落です。
10月~11月末までの株価下落率と12月1日~12月15日までの株価下落率をスプリットしてみると以下の通りになります。
10月末からの1ヶ月間で約▲35%も下落しているのに、その水準($17.47)から2週間でさらに約▲20%下落しています。
Thanks Givingが明けから約2週間で、損切りアクションが活発化したのは明らかですね。
しかし、12月15日にタックスロスセリングのピークを迎えると、その後、株価は文字通り”急騰”しています。
12月15日~2021年1月13日につけた高値までの上昇率は約+70%と、1月効果は、12月後半から現れている事が分かります。
実際には、12月18日あたりに急激に出来高を伴って買われ、1月に入ってからは13日まで右肩上がりで推移しています。
タックスロスセリングでやられても、好業績を発表している銘柄は握力強く握っていきたいところです。
【米国株】2021年のタックスロスセリング銘柄候補 by じっちゃま
【米国株】2021年のタックスロスセリング銘柄候補としてじっちゃま(広瀬隆雄さん)がピックアップしていた銘柄を見ていきましょう。
じっちゃまがタックスロスセリングの集中砲火を浴びそうな銘柄としてTweetした銘柄は以下の通り。
- シースリーエーアイ(AI)
- アムウェル(AMWL)
- ビッグコマース(BIGC)
- ブレード(BLDE)
- バークレー・ライツ(BLI)
- バンブル(BMBL)
- ビヨンドミート(BYND)
- コインベース(COIN)
- コーセラ(COUR)
- トーリッド(CURV)
- スプリンクラー(CXM)
- ダッククリーク(DCT)
- ディーローカル(DLO)
- クリスピー・クリーム(DNUT)
- ドクシミティ(DOCS)
- ジェイフロッグ(FROG)
- ファストリー(FSLY)
- オーロ(OLO)
- オスカーヘルス(OSCR)
- ユーアイパス(PATH)
- ペロトン(PTON)
- ロク(ROKU)
- シーア(SEER)
- テラドック(TDOC)
- ゾーメトリー(XMTR)
その数、ざっと25銘柄です。
じっちゃまがツイートしたのは11月29日。
ROOTのように11月30日~12月15日にかけて、上記銘柄がどれだけ下落するのか、しっかりと確認していきたいですね。
個人的には、ディローカル(DLO)とブレード(BLDE)のエントリーポイントを探っています。
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【米国株】タックスロスセリングとは?対象銘柄の株価はどうなる?~米国株事例を調べてみた~: まとめ
【米国株】タックスロスセリングとは?対象銘柄の株価はどうなる?という記事を解説してきました。
簡単に振り返っていきましょう。
タックスロスセリングとは、保有中の株式のうち大きく含み損が出ている株を売却して実損を出し、キャピタルゲインと相殺し、所税金支払いを少なくする手法の事です。
IPOしたばかりの若い中小小型株で、年初来ボコボコに売られてきたの銘柄は、Q4・特に12月に売り込まれやすく、12月15日あたりまで売り浴びせが続く傾向があります。
ただし、12月15日を過ぎると、タックスロスセリングの対象銘柄は再び買われ始め、1月にかけて株価は急騰するケースが多いのも事実。
2020年の事例では自動車保険を取り扱うROOTは、10月末~12月15日あたりにかけて株価は約▲50%となっているが、12月18日以降急騰し、1月13日までの上昇率は約70%となっています。
タックスロスセリングで売り浴びせをくらった好業績銘柄を12月後半以降に拾いたいところですね。
以上、【米国株】タックスロスセリングとは?対象銘柄の株価はどうなる?~米国株事例を調べてみた~でした!!