本記事は、私自身が米国株投資を行う中で、新たに学んだ内容や当時の状況について記録する事を目的として纏めています。
当時の状況を表す指標や予測をレトロスペクティブに振り返る事で、「どのような状況変化があったのか?」「予測との相違点はどこか?」を把握する事が可能になり、今後の長い投資人生の中で類似ケースがでてきた際の参考材料として残しておきたいと考え、記事に纏めています。
本記事では、2020年10月23日にじっちゃま(広瀬さん)が実施した楽天証券セミナー「【ライブ配信】米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」で行われた内容の一部を個人的なメモとして纏めています。
セミナーでは、個別銘柄に関する説明もされていますが、本記事ではマクロな内容を中心にポイントを記録しました。
非常に有益な情報が無料で提供されているので、時間の許す方は一度、じっちゃまの講義を聴く事をオススメします。
米大統領選挙直前!投資スタンスはどうする?米国の経済状況は?
2020年11月3日に迫った米国大統領選挙。
10月23日時点では、トランプ、バイデンどちらが勝つか分からない、かなりの接戦が予想されます。
ただ一方で、株式投資戦略としては、フルポジションで臨むべき時期が近づいている状況。
よって、経験則に基づけば、選挙投票日よりも前に仕込みを完了しておきたいところ。
また、過去の株式市場のデータベースによると、「11月、12月、1月」の3か月間は米国株式市場の中で1年のうち最もパフォーマンスの高い期間である為、この期間はフルインベストメントで臨みたい。
民主党出身大統領の方が株価のパフォーマンスは良いというデータはあるが、重要なのは「共和党が勝とうが民主党が勝とうが株式市場から退場しない」という事。
新型コロナウイルスのワクチンは、11月第3週頃にデータが出揃う見込みで、ファイザー/バイオンテック連合は米国食品医薬品局(FDA)に対して、承認申請を出す予定。
じっちゃまが当初想定していたスケジュールよりも3週間程遅いが、ただ、シンプルにデータが出揃う時期が遅れただけ。
1つ言える事は、ワクチンの承認の遅れにより、クリスマス商戦時期に人々が安心して外出できる可能性は低く、新型コロナ第二波が到来している事から、2020年はデジタルクリスマスになる可能性が高いという事。
こうした状況を踏まえると、投資のセクター戦略はいつもの「ワクチン、治療薬、Eコマース、在宅勤務、デジタル広告関連銘柄」が望ましいと言える。
米大統領選挙の予想と米国の経済状況
- 米大統領選挙有権者投票意向調査(リアルクリアポリティクス:webサイト)
- 米大統領選挙の年のS&P500
- 米国の株式市場の月次パフォーマンス
- 歴代大統領とドル/円の変動率
- 米国の小売売上高
- 小切手口座平均座残高
1つず詳しく見ていきましょう。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況①:大統領選挙有権者投票意向調査(リアルクリアポリティクス:webサイト)
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
リアルクリアポリティクスによる大統領選挙有権者投票意向調査の推移を示している。最新数字ではバイデンが50.7%、トランプは42.8%で少しビハインドという状況。
ただ、このアンケート調査はよく外れる事で有名との事。
実際、2016年の大統領選挙調査でも予測を外していた。投票意向調査会社は11社あるが、2016年の大統領選挙において、トランプ勝利を的中させた会社は以下の2社のみ。
- IBD TIPP(Investor Business Daily)
- ピュー・リサーチ・センター
前回の大統領選挙予想を的中させたIBDの現時点の予測では、今回の大統領選挙はバイデン50%、46%という支持率になっており、どちらの候補が勝ってもおかしくない状況。
ちなみに、本セミナー後に行われた討論会後の10月25日時点ではIBDによる予測においてバイデンの支持率が上昇していました。
The latest poll from IBD/TIPP finds Biden solidifying his lead over President Trump with just nine days to go. #2020GeneralElection #election2020 https://t.co/aIhMifJ9K5
— Investors.com (@IBDinvestors) October 25, 2020
投票のポイントは2つ。
1つは、「景気」。
有権者は何よりも「景気」を重要視しており、「景気」を重視している有権者はトランプを支持する傾向にある。
もう1つのポイントは新型コロナ対策。
新型コロナ対策に関しては、70%の有権者はバイデンを支持している状況。ただ、コロナ対策の1つとして、ロックダウンを実行すると、消費機会がなくなる事で飲食、旅行、航空業界など、景気に対するネガティブインパクトが大きい。景気と新型コロナ対応はトレードオフの関係にある。
実は、前回の2016年米国大統領選挙では、クリントンが楽勝に勝つ(エレクトリカカレッジでリード)と予測されており、今回の大統領選挙も当時の状況と似ている部分もある。
トランプ、バイデン、どちらが勝つか、勝敗を占う1つの山場になるのは激戦区であるフロリダ州。
一方で、フロリダ州を落としたらその時点でバイデン勝利がほぼ確定となる。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況②: 米大統領選挙の年のS&P500
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
過去の経験則によると、投票日前から3か月間の株価が上昇したら現職大統領勝利、下落したら候補者の勝利というジンクスがある。
2020年は8月3日以来、S&Pのパフォーマンスは+4.8%なので、株式市場の動きだけを見ればトランプ勝利の動きをしている。
上記グラフは、大統領選挙の年のS&P500の過去70年のデータ。
ただ、株式市場の底入れは、選挙日よりも1~2週間前に底入れしている傾向にある為、投資スタンスとしてはフルインベストメントで良い。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況③: 米国の株式市場の月次パフォーマンス
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
S&P500とナスダックの月次パフォーマンスを見てみましょう。
上記グラフにおいて、S&P500は1950年から、ナスダックは1970年から現在までの平均値を示しています。
つまり、大統領選挙の結果がどうであれ、11月、12月、1月の3ヶ月間は米国株式市場のパフォーマンスが良いという事。
これが、10月末からフルインベストメントをすべきもう1つの理由。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況④: 歴代大統領とドル/円の変動率
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
日本から米国市場に投資をしている場合は、為替が気になるところ。
上記グラフは、歴代大統領の所属と為替パフォーマンスを示している。赤が共和党で青が民主党。
データを見ると、民主党大統領の方がドルは強い傾向にある。よって、バイデンが勝てば為替の心配はないと言える。
過去に明らかにドル安/円高政策をとったのは固定相場制から変動相場に移行しニクソンショックを起こしたニクソン大統領。あとはロナルド・レーガン大統領。
過去のデータによれば、共和党出身大統領の方がドル安政策を打ち出しやすい傾向にある。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況⑤: 米国の小売売上高
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
米国の小売売上高のデータを見ると、足元の景気は戻ってきている事が分かる。
2020年3月は▲8.2%、4月は▲14.7%と大きく落ち込んだが、5月以降はプラス転換し、以降、堅調に推移している状況。
その理由は、お金を使わくなったから。個人の貯蓄率が高まった事が背景にある。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況⑥: 米国国民個人の預貯金
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
米国国民の個人の預貯金を示しているチャート。
新型コロナが襲ってきた3月時点では、先行き不安から消費者は倹約し、貯蓄率は可処分所得の35%まで瞬間風速的に急上昇。ロックダウンが解除されてから貯蓄率は減少したものの、新型コロナウイルスによるパンデミックが起こる前と比べると、個人の手元資金は潤沢にある状況が分かる。
米国大統領選挙の予想と米国の経済状況⑦: 小切手口座平均座残高
<出典:楽天証券セミナー_米大統領選挙の直前に開催!全世界が注目しているイベントの行方は?」>
新型コロナウイルス対策の一環として、米国政府は2.2兆ドルの景気支援策(ケアーズ・アクト)を打ち出しています。
- 裕福層を除く国民1人1人に最低13万円のキャッシュ配布
- 失業者に対しては、通常の失業保険に上乗せする形で毎週6万円(1か月で24万円上乗せ)の見舞金を配布
かえって失業した方が、収入が増える現象が起きた事を示しているのが上記グラフ。
手元にキャッシュを蓄えている為、クリスマス商戦では贅沢する可能性がある。
JPモルガンチェイスの利用カード(サファイアカード)を見ると、最新データではデジタル売上が大きく増えている。既にクリスマス商戦に向けてEコマースが動き出している雰囲気もある。
米国株:個別銘柄の解説
今回のセミナーで解説された個別銘柄は、下記の通りです。
- バイオンテック(BNTX)
- リジェネロン(REGN)
- アマゾン(AMZN)
- ズームビデオ(ZM)
- フェイスブック(FB)
ワクチン、在宅勤務関連、Eコマース関連の王道銘柄の紹介でした。
特にズームビデオ(ZM)は2019年4月のIPOから好決算を出し続け、1年半で株価を10倍近くに伸ばした超優良企業ですね。
>>>【米国株】ズーム(ZM)の凄さ~株価は1年で10倍!次のズーム株を探す手掛かりは?~
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ちなみに、Q&Aセッションでじっちゃまが言及していた銘柄のうち気になったのはエヌシーノ(NCNO)。
イギリスの大手銀行Barcley’sが、新規口座開設時のインターフェースとしてNCNOを採用すると発表があり、注目されている銘柄。
新規採用ペースは順調に推移。銀行の基幹システムである為、継続利用率は高い事が想定され、さらにSaaS銘柄である為、収益のVisibilityは高い事が特徴。
一方で、現在の株価は10月7日に公募増資を実施した事で、足踏み状態。売出価格である$72付近まで下落してきている状況。
>>>公募増資で株価はどう動く?買い?売り?~米国株の事例を検証してみた~
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エヌシーノ(NCNO)は、最近IPOされた銘柄の中では、次のテンバガー候補の1つになりえる銘柄。
ただ、良い決算を出し続ける事が条件。全ては決算次第。
米大統領選挙前の投資スタンスと米国の経済状況: まとめ
2020年米国大統領選挙前の投資スタンスと米国の経済状況についてみてきました。
簡単に振り返ってみましょう。
米国大統領選挙はトランプ、バイデン、どちらが勝つか読めない接戦の状況。
ただし、投資スタンスとしては米国大統領選挙の結果に関係なくフルインベストメントをするべき時期が近づいている。
過去の経験則やデータによると、大きく2つの傾向がある為。
- 大統領選挙の1~2週間前から株式市場は上昇傾向に
- 11月、12月、1月の米国株式市場は1年の中で最もパフォーマンスが良い
また、ファイザー/バイオンテック連合の新型コロナウイルスワクチンの承認申請時期は11月第3週が予想される。2020年はクリスマス時期に外出する事は難しいが、新型コロナウイルスに対する景気支援策で、消費者の手元資金はコロナ前よりも潤沢にある事から、デジタルクリスマス商戦は活気が出る事が予想される。
ワクチン、Eコマース、在宅勤務、デジタル広告関連銘柄には注目。
>>>米国の株価と経済状況~2020年10月以降の見通しとポイント
本記事は、私自身が米国株投資を行う中で、新たに学んだ内容や当時の状況について記録する事を目的として纏めています。 【想定読者】 株式投資初心者・米国株投資初心者・これから株式投資を検討している人 […]
以上、米大統領選挙直前!投資スタンスはどうする?米国の経済状況は?でした!!