本記事では、私自身が米国株投資を行う中で、「過去に抱いていた疑問」や「今後の投資判断において非常に重要だ」と感じた内容について備忘目的で記事に纏めています。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中で働き方や行動様式が大きく変わり、今やリモートワーク時に欠かせないツールとなったビデオ会議用ツール、ズーム(ZOOM)。
利便性の高いビデオ会議ツールを提供するズームビデオコミュニケーションズ(ZM)は2019年のIPOでナスダックに上場したグロース株です。しかも、上場以降、決算を一度もしくじっていません。パーフェクトゲームを展開中で株価は1年で10倍(テンバガー)を達成。
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将来性も高く期待されている企業の1つです。
今でこそ大衆に認知され、誰もが一度は利用した事のあるビデオ会議用ツールのデファクトスタンダートとなり、WIthコロナ時代の勝ち組企業の代表格となったズーム(ZM)ですが、ほんの1年前まではそこまで広く知られていませんでした。
そこで、本記事ではズーム(ZM)のIPO当時のForm S-1など、SEC(米国の証券取引委員会)のオンラインデータベースEDGAR(エドガー)に公開されている資料を改めて読み返し、「一体ズーム(ZM)の何が凄かったのか」を調べ、その内容を纏めています。
ズーム(ZM)の当時の凄さを改めて確認する事で、次の10倍株、NEXTズーム(ZM)を探り当てる為の手掛かりを探していきます。
【米国株】ズーム(ZM)とは?:
ズームビデオコミュニケーション(通称ズーム)は、クラウドベースで企業や個人向けにビデオ会議をはじめとした様々なコミュニケーションサービスを提供する企業です。
元Cisco systems/Webex出身の現CEOが2011年に創業。従来のビデオ会議用ツールの延長線上でサービスを考えるのではなく、「Our goal is to make Zoom meetings better than in-person meetings. 」という強い信念に基づき、ゼロベースで新たにビデオ会議用プラットフォームを設計。
多くのデベロッパーが使いやすいように、オープンアプリケーションインターフェース(オープンAPI)を採用。スマホやPCなどの端末を選ばずに、どこからでもビデオ会議が可能なサービスを構築した事で、誰でも手軽に利用でき、従来のコミュニケーションに革命を起こし続ける今のズーム(ZM)のサービスが誕生しました。
<出典:ズーム(ZM)の売出目論見書>
ズーム(ZM)が提供するサービスへのユーザーの評価は高く、2018年時点でNPSは70超え。誰でも無料で利用できるので、ユーザーがユーザーを呼び込むことで雪だるま式にユーザーを拡大しています。
サブスクリプション型のビジネスモデルを採用し、収益見通しが立てやすい事に加え、営業利益率も70%以上で推移。2019年のIPO時点で既に黒字化を達成し、財務的にも安定していました。
ズーム(ZM)の株価は、全世界的にリセッション入りが表明された2020年3月に多くの企業が大幅下落を記録し、阿鼻叫喚するマーケットを横目に、右肩上がりで上昇。特に直近の2020年Q3決算は、市場予想を遥かに上回る異次元決算を叩き出し、さらに一段と株価を押し上げた事は記憶に新しいです。
【米国株】 ズーム(ZM)のIPO
米国株のズーム(ZM)は2019年にナスダックに上場しています。当時のIPO情報は下記の通り。
IPO実施時期 | 2019年4月18日 |
ティッカーシンボル | ZM |
発行株数 | 20,869,565株 |
売出価格 | 36ドル |
引受け幹事 | モルガンスタンレー JPモルガン ゴールドマンサックス クレディスイス BofAセキュリティーズ ウェルスファーゴ |
ズーム(ZM)は、2019年4月18日に米国のナスダック市場に上場。初値は65ドル、終値は62ドルをつけ、売り出し価格36ドルを大きく上回り、20,869,565株を売却しています。
米国のIPOへの投資を検討する際に確認が必要な引受け幹事ですが、ズーム(ZM)のIPOの引受け幹事としては、「モルガンスタンレー」、「JPモルガン」、「ゴールドマンサックス」の御三家をはじめ、ウォール街の大手投資銀行がこぞって参加しています。
<出典: ズーム(ZM)の売出目論見書>
「IPOの主幹事や参加している投資銀行がどこか」を見る事は、その銘柄への投資が「良いディールなのかどうか」を判断する為の1つの材料になります。主幹事証券を見る事で、一流の金融プロフェッショナル集団に達によるデューデリジェンスをクリアし、「是非とも主幹事を引き受けたい」と言わせるだけの魅力があったという事実が確認できます。主幹事証券を見るだけでも、ズーム(ZM)は超優良ディールである事が分かります。
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さらに、具体的にズーム(ZM)がIPO前から輝きを放っていた凄さや魅力を見ていきましょう。
【米国株】ズーム(ZM)の凄さ:次のズーム株を探す手掛かり
米国株のズーム(ZM)のIPO当時の凄さを4つピックアップして、紹介していきます。
いずれもIPO時点での情報なので、優良IPO銘柄がゴロゴロある米国株の中でも、ズーム(ZM)と似たような凄さを持つ企業を見つける際の手掛かりになるかもしれません。
- NPSは70越え
- サブスクリプションモデルを採用
- IPO時点既に黒字化(高い営業利益率)
- ビデオ・カンファレンス市場のTAM(2020年時点で430億ドル)
1つずつ見ていきましょう。
ズーム(ZM)の凄さ①:NPSは70超え
ズーム(ZM)のNPS(Net Promoter Score)は2018年時点で既に70を超えていました。
NPSの高さは、ズーム(ZM)が重視している高品質で使いやすいプラットフォームの良さが、直感的にユーザーに伝わり、好感を持たれていた事を意味します。
さらに、2018年の「Gartner Peer Insights Customers’ Choice」における会議ソリューション(Webカンファレンス)部門でも既に認知され、高い評価を得ていました。
企業が評価対象となるには、50件以上の公開レビューと1年間で蓄積されたレビュー評価の平均点において、4.2以上を獲得が条件となるので、そもそも評価対象になるだけでもハードルが高いにも関わらず、ズーム(ZM)は5000以上のレビューを獲得し、平均4.6以上の高評価を得ています。
<出典:Gartner Peer Insigts>
また、ズーム(ZM)は当初から手厚いサポート体制を構築。ライブチャットや電話、ビデオを通じて365日24時間サポート体制を整備していた事で、一定期間内においてズームのカスタマーサポートチームの顧客満足度スコアは90%以上を獲得していました。
当時から、ユーザー目線で利便性の高いツールを提供し、サポート体制も充実させる事で、ユーザーの安心感や満足度を高める事に力を入れていた事が分かります。
ズーム(ZM)のNPS70も驚異的な数字ですが、IPO時点でNPS 90を記録している企業があります。2020年9月にナスダックに上場したグッドアールエックス(GDRX)です。
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ズーム(ZM)の凄さ②:サブスクリプションモデルを採用
ズーム(ZM)はサブスクリプション型のビジネスモデルを採用しています。
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ズームは基本的に、誰でも無料で会議を主催可能。主催者が招待するユーザーも無料でズームを利用できます。まずは気軽にズームを利用してもらい、使いやすさや品質の高さを体験してもらう事が狙いで、招待されたユーザーが今度は主催者となり、新たなユーザーを呼び込むというようなスケーラブルな仕組みになっています。
機能制限されたベーシックプランでも十分すぎますが、手軽さ、便利さ、品質の高さを知り、ズーム(ZM)の虜になったユーザーは自然と有料課金をするディープユーザーになっていきます。
ディープユーザーに対してもズーム(ZM)は、顧客の懐事情に合わせて月契約、年契約、複数年契約を用意し、請求も月別、年別、または一括請求のいずれかで実施。
ディープユーザーの顧客離反がなければ、基本的には今期の売上が来季の売上のベースになり、ディープユーザーを増やせばその分だけ、アップサイドが得られる仕組みになっています。
IPO当時も、ズーム(ZM)の大口顧客、つまり顧客企業のほとんどは一括支払いや複数年単位で契約する傾向にあったようです。
IPO当時の収益の柱は、従業員10名以上の企業。既に5万社以上の顧客を抱え、売上の約80%近くを占めていました。そのうち、年間1,000万円以上の顧客を最重要顧客として位置付け、2017年には31社しかなかった顧客数を2019年には344社まで増やしています。
ターゲットが明確で、戦略的かつ着実にコアユーザーを増やす事でサブスクリプション収入を増やしている事からも、ズーム(ZM)は将来性が期待できる企業である事が分かります。
サブスクリプション型ビジネスモデルを採用し、2020年に株価上昇を加速させたのが、エンドポイントセキュリティプラットフォームを提供するクラウドストライク(CRWD)です。
クラウドストライク(CRWD)もズーム(ZM)と同様に将来性が期待できる企業の1つです。
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ズーム(ZM)の凄さ③:IPO時点で既に黒字化(高い営業利益率)
ズーム(ZM)がIPOする前に、公開されていた2017年から2019年までの3年間の売上推移は下記の通りです。
<出典: ズーム(ZM)の売出目論見書の数字を元に筆者がグラフを作成>
2017年時点での売上は60億強でしたが、2019年には売上が6倍近くに伸びています。年間1,000万円以上を支払ってくれる顧客が31社から344社に増え、売上の30%近くに貢献しています。
さらに、営業利益率は約80%をキープし安定推移。2019年には純利益がプラスに転じています。
<出典: ズーム(ZM)の売出目論見書の数字を元に筆者がグラフを作成>
四半期ベースでみても、売上は右肩上がりで成長。サブスクリプションモデルを採用しているので、顧客離反が低く、新規ユーザーの獲得が上手くいっている事が分かります。
営業利益率も78%~83%のレンジで安定推移し、四半期単体でも黒字化していますね。
ズーム(ZM)同様にIPO時点で黒字化している企業は多くありません。そんな中、圧倒的な黒字化を実現し、し、「キャッシュフローモンスター」と呼ばれているのが2020年6月にナスダックに上場したロイヤリティファーマ(RPRX)です。
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ズーム(ZM)の凄さ④:ビデオ・カンファレンス市場のTAMは430億ドル
ズーム(ZM)のFrom S-1には、IDC(international Data Corporation)というリサーチ会社の市場調査によると、ビデオカンファレンス市場は2022年時点で430億ドルになると予測されていました。
ビデオという媒体は、個人の働き方や組織間のコミュニケーションを支える重要なツールになりつつあり、ズーム(ZM)関係者の予測では、「将来的にはマーケットリサーチよりも市場規模は大きくなる」予測されています。
予測からもズーム(ZM)の将来性には期待が持てますね。
WIthコロナ時代の働き方のゴールデンスタンダートとなったズーム(ZM)は、ワクチンや治療薬が出来たとしても、業務効率や生産性を挙げる為のツールとして今後もますます利用されていく事が予想されます。
ズームのような優良企業は米国にゴロゴロあります。
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【米国株】ズーム(ZM)の株価推移
ズーム(ZM)の株価推移を見ていきましょう。
下記のグラフはIPOした2019年から2020年10月までの約1年間の株価推移です。緑ポチは決算時期を示しています。
<出典:TradingView>
チャートを見ると、2020年に入ってからの上昇の仕方がえげつない事が分かりますが、個人的に気になるのは、上場初年度の2019年の株価の動きです。
3ヶ月毎に公表される四半期決算は全て好決算を出しているにも関わらず、2019年には株価は本格的に上昇していません。むしろ、好決算にも関わらず、2019年12月には株価が下がっている事が分かります。
下記がズーム(ZM)の2019年から2020年9月までの決算結果の一覧です。
<出典:Investing.com>
EPS、売上高ともにコンセンサス予想を全て上回っている事が分かります。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、リモートワーク関連銘柄の代表格として大きな注目を集めた事もズーム(ZM)にとって追い風となった考えられますが、好決算を出し続けている事で、評価が高まった事は間違いないですね。
一方で、2020年に上場したばかりのロイヤリティファーマ(RPRX)、ズームインフォ(ZI)、グッドアールエックス(GDRX)などの米国優良銘柄の多くは2020年10月現在、株価的には低空飛行を続けている印象です。
ただ、超優良企業のズーム(ZM)ですら、IPO初年度の株価の動きはあまりなかった事を考えると、2020年に上場したばかりの銘柄の株価については、短期的にあまり心配をしなくても良さそうです。
むしろ、ズーム(ZM)のように「連続して好決算を出し続ける事が出来るか」が今後の注目ポイントになってきます。
ズームビデオコミュニケーションズ(ZM)が気になるけど、いきなり大きな資金を投じたくないという人は、スマホだけで1,000円から投資ができるPayPay証券がオススメです。
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米国株のズーム(ZM)の凄さについて紹介してきました。
簡単に振り返っていきましょう。
ズーム(ZM)は、リモートワーク関連銘柄の主役としてWithコロナ時代の勝ち組となっているクラウドベースのビデオ会議用プラットフォームを提供する企業。
2019年4月にナスダックに上場し、IPO後の決算は全て好決算を出し続け、パーフェクトゲームを展開している超優良企業。
IPO初年度の2019年は好決算を出しても本格的に株価は上昇しなかったものの、2020年以降は好決算をマーケットが好感し、株価が急騰。株価はたった1年で10倍(テンバガー)を達成。
ズーム(ZM)がIPO当時から持ち合わせていた凄さは4つ。
- NPSは70越え
- サブスクリプションモデルを採用
- IPO時点既に黒字化(高い営業利益率)
- ビデオ・カンファレンス市場のTAM(2020年時点で430億ドル)
IPO時点で、多くのユーザーからサービスが高く評価され、着実に顧客数を伸ばし、サブスクリプション型ビジネスモデルを採用する事でVisibilityの高い経営を行う事で、IPO時点でも黒字化を達成していました。
IPO時点での企業情報収集には、米国株式市場に上場している全ての企業情報が閲覧できる米国証券取引委員会(SEC)が管理・運営しているオンライン公開データベースEDGARが便利です。
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以上、 【米国株】ズーム(ZM)の凄さ~株価は1年で10倍!NEXT ZOOM株を探す手掛かりは?~でした!!