本記事では、今後の投資銘柄選定や、類似銘柄の株価動向予測やパターン分析などに参考にする為に個人的に気になる企業や市場参加者の注目度が高い企業の「決算結果」、「決算発表後の株価の動き」等について纏めています。
今回は、2020年6月に、2020年最大のIPOと言われていたワーナー・ミュージック・グループ(WMG)の時価総額(168億ドル)を大幅に上回る312億ドルを記録し、ナスダック市場に上場したロイヤリティファーマ(RPRX)のIPO後の初の決算である2020年第2四半期決算に関する情報について纏めています。
上場時には大きな話題を呼び、人気の高さを見せてたロイヤリティファーマ(RPRX)のIPO後初の決算という事もあり、注目していた投資家も多いと思います。
そんなロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年第2四半期決算は、2020年8月12日に発表されました。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の「決算内容」や「決算後の株価の動き」はどうだったのでしょうか?
本記事では、ロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年第2四半期決算結果と決算内容について、纏めています。ロイヤリティファーマの一連のムーブメントが今後の株式投資の判断材料として少しでも参考になれば幸いです。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算結果: 2020年第2四半期の決算内容
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算結果、IPO後初の決算となる2020年第2四半期の決算結果は良好、いわゆる好決算でした。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算結果について、下記の4つについて詳しくみていきましょう。
- 2020年第2四半期決算結果
- 売上と利益の関係と内訳
- 2020年8月までに新規獲得したロイヤルティ
- ロイヤリティファーマのIPO前までの投資額の推移
- 配当
1つずつ見ていきましょう。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算内容①: 2020年第2四半期決算結果
ロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年第2四半期決算の結果は以下の通りです。
- Adjusted Cash Receips: 4.62億ドル(前年同期比+24%)
- Adjusted Cash Flow: 3.69億ドル(前年同期比+47%)
- Adjusted Cash Receiptsの通年ガイダンス: 17.2~17.6億ドル
尚、2020年通年の買収は17億ドルを見込んでいる模様。
<出典: ロイヤリティファーマ(RPRX) 決算資料 Q2 2020 Financial Results>
ロイヤリティファーマ(RPRX)は、製薬特許権の売買を頻繁に行っている実質的には投資会社のような性質のある会社の為、通常の会社のような尺度で決算結果を判断する事は難しいようです。
この会社は日常業務として製薬会社のパテントを、売ったり買ったりしています。その関係で売却益とか投資による現金の減少などは日常的に発生します。
すると…フツーの会社の「売上高」、「利益(EPS)」という尺度では業績が順調に伸びている様子は捉える事はできません。
— じっちゃま (@hirosetakao) August 12, 2020
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算を見る際に、覚えておきたいのは下記の点です。
- ロイヤリティファーマのAdjusted Cash Receipts: 通常の会社の「売上」
- ロイヤリティファーマのAdjusted Cash Flow: 通常の会社の「利益」
- ロイヤリティファーマの場合、特にAdjusted Cash Flow(利益)が伸びているかどうかに注目する
2020年第2四半期決算の結果は、「Adjusted Cash Flowが前年同期比+47%」と良かったので、好決算だったという事ですね。
ちなみに、通常企業の決算時における確認ポイントについては下記の記事に詳しく纏めています。
>>>米国株の決算は個人投資家にとって「最重要材料」である理由
米国株の決算は投資判断をする上でなぜ重要なのか? そんな疑問に答えます。 本記事では、私自身が米国株投資を行う中で、「過去に抱いていた疑問」や「今後の投資判断において非常に重要だ」[…]
ロイヤリティファーマ(RPRX)の具体的な決算内容について、Q2 Earningsの資料を確認していきましょう。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算内容②: 売上と利益の関係と内訳
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算で発表された売上と利益は下記のウォーターフォールチャートで示されています。
<出典: ロイヤリティファーマ(RPRX) 決算資料 Q2 2020 Financial Results>
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算結果を見る上で一番重要なAdjusted Cash Flowは、上記資料の一番右側に記載されています。
そして、Adjusted Cash Receiptsから人件費やR&D資金、借入金利などを差し引いたものがAdjusted Cash Flow(non-GAAP)で、通常の会社の営業利益に該当する部分で、$369(M)となっています。
Adjusted Cash ReceiptsとAdjusted Cash Flowの差がほとんどない、コストがほとんどかからずに利益になっている点がロイヤリティファーマの凄さではないでしょうか。
ロイヤリティファーマ(RPRX)という会社の凄さや魅力については、下記の記事で詳しく纏めています。
>>>ロイヤリティ・ファーマ(RPRX)の魅力【米国株の2020年IPO優良銘柄】
ロイヤリティファーマはどんな会社? ロイヤリティファーマはどんな強みや魅力がある? ロイヤルティファーマのIPO情報は? 本記事では、米国で2020年にIPOされたロイヤリティファーマ(RPRX[…]
ロイヤリティファーマが、具体的に何のロイヤルティから収入を得ているのか、収入の内訳を少しみていきます。
先程のウォーターフォールチャートの一番左側にあったRoyalty Receiptsの内訳を表しているのが下記のスライドです。
<出典: ロイヤリティファーマ(RPRX) 決算資料 Q2 2020 Financial Results>
こちらのスライドでは、製薬を販売する会社の取り扱う製品名で、ロイヤルティ収入額と前年同期比率が記載されています。
製品名はあまり馴染みがないので、販売会社名で表すと内訳は下記の通りとなります。
Marketer | $M | 前年同期比 |
Vertex | 136 | +59% |
Biogen | 93 | +13% |
Abbie & Johnson&Johnson | 82 | +23% |
Gilead | 65 | +24% |
Merck&Co. | 35 | ▲15% |
Pfizer & Astellas | 34 | +26% |
Novartis | 27 | +38% |
Others | 114 | +2% |
Total Royalty Receipts | 586 |
Vertex社の割合が最も高く、次いでBiogen、Abbie&JJと続き、3社の製品でTotal Royalty Receiptsの約50%を占めている事が分かります。
バランスよくポートフォリオを組んでいる印象ですが、今後は特許切れになる製品による収入を、新規で獲得する製品の特許収入でどれだけカバーしていく事ができるかが、ポイントとなりそうです。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算内容③: 2020年8月までに新規獲得したロイヤルティ
ロイヤリティファーマ(RPRX)が2020年8月までに新規獲得したロイヤルティは主に4つです。
- BiohavenのNurtecODT
- PTVのEvrysdi
- AgiosのIDHIFA
- AirCurtisのPREVYMIS
<出典: ロイヤリティファーマ(RPRX) 決算資料 Q2 2020 Financial Results>
新規に取得した4つのロイヤルティに関する情報を簡潔に纏めると下記の通りです。
このあたりのロイヤルティ収入が「将来的にどの程度の規模になるのか、上場後、どのようなロイヤルティに投資をしていくのか」を定期的に確認していく必要がありそうです。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算内容④: IPO前までの投資額の推移
ロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年第2四半期決算では、ロイヤリティファーマの投資環境の変遷として3つのフェーズが示されていました。
<出典: ロイヤリティファーマ(RPRX) 決算資料 Q2 2020 Financial Results>
段階的に投資規模が大きくなり、比例するようにマーケットシェアが高まっている事が分かります。
第一フェーズは、創業した1996年から2003年までで、この間は創業者の資金(Equity Only)のみで投資を行っており、買収に投資していた金額は$0.3bでした。
次いで第二フェーズですが、2004年から2011年の8年間の投資金額総額は第一フェーズ比で約17倍の$5.1bに、そして、2012年から2020年5月の第三フェーズでは、さらに$13.9bと伸ばしています。
驚くべき点は、IPO前時点で既に60%近いマーケットシェアを抑えている点です。
第4フェーズになる上場後の8年間は、さらに質の高い投資や買収できる特許の数が増える事が予想されています。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算内容⑤: 配当金
ロイヤリティファーマ(RPRX)の次期配当金情報は下記の通り。
2020年Q3分 | |
RPRX配当発表日 | 2020年9月2日 |
RPRX配当の権利落ち日 | 2020年9月15日 |
RPRX配当支払い日 | 2020年9月30日 |
RPRX 1株当たり配当金 | $0.15 |
RPRX配当利回り | 約1.47% |
初回の配当は、1株当たり$0.15で、配当利回りは約1.5%です。
IPOして間もない企業は黒字決算を出すだけでも凄いのに、いきなり配当金を出すのは超異例です。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の配当月や配当実績などについては下記の記事に詳しく纏めています。
>>>ロイヤリティファーマの配当はいつもらえる?~配当月や利回りを知っておこう~
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これまでは2020年第2四半期決算の内容をみてきましたが、決算発表後のロイヤリティファーマ(RPRX)の株価の動きはどうなったのでしょうか?
ロイヤリティファーマの決算前後の株価格の動き: 2020年第2四半期決算
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算後の株価の動きを見ていきましょう。
下記は、2020年6月の上場後から、2020年第2四半期決算から約1カ月が経過した2020年9月中旬頃までの3か月間の株価格チャートです。
<出典: Tradingview>
IPO直後はマーケットの期待値を証明するかのように大きな出来高を伴い、$55付近まで一気に上昇し、力強さを見せていました。
しかしながら、その後、IPO後初決算を約2週間後に控えた7月末時点に、最高値から約▲約30%下落し、約$40をつけました。
その後、決算への期待感からか、8月12日の決算発表までは上昇を見せ、決算発表時点では決算発表2週間前から約10%近く上昇しています。
ただ、好決算だったにも関わらず、決算発表後は株価はズルズルと右肩下がりで、1カ月後の9月14日時点では$38台に落ち込んでいます。
期待が大きかった銘柄だけに、正直、短期的な値動きには失望している投資家が多いと思われます。
SaaS銘柄を中心に、新高値を更新している銘柄が他に多く存在しているので、資金効率を考えて、ロイヤリティファーマを損切りして、他銘柄に乗り換えている投資家もいるようです。
ホールド組は、大きな含み損を抱えている状況だと思いますが、超優良企業なので、短期的な株価の動きはあまり気にせず、気長にホールドしておくスタンスでいたいですね。
>>>ロイヤリティファーマのIPO後初決算と株価の推移~2020年第2四半期決算結果は?~
ロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年Q3決算発表はいつあったの? ロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年Q3決算結果は? ロイヤリティファーマ(RPRX)の2020年Q3決算前後の株価の動きは?&n[…]
ロイヤリティファーマ(RPRX)の配当は?
ロイヤリティファーマ(RPRX)は配当の発表を2020年9月2日に行っています。
<出典: ロイヤリティファーマ Press release>
2020年第三四半期配当として、1株当たり$0.15の配当を出すようです。
配当の権利落ち日は9月15日で、配当の配布は2020年9月30日を予定しています。
配当額は決して大きくありませんが、これから本格的な成長フェーズにあるIPO直後の企業が配当を出す事は異例です。
中長期的な視点でのんびり構えれば、インカムゲインとキャピタルゲインの恩恵を受けられそうですね。
高配当でキャピタルゲインも狙えそうな株としては、ワクチン治療薬のギリアド(GILD)も1つの選択肢になりそうです。
>>>ギリアド(GILD)は買いか?【米製薬大手 2020年Q2決算発表】
本記事では、ギリアド・サイエンシズ(GILD)について、私が調べた情報を備忘目的で記事に纏めています。 【想定読者】 株式投資初心者・米国株投資初心者・これから株式投資を検討している人 […]
ロイヤリティファーマのIPO後初決算と株価の推移~2020年第2四半期決算は良好も株価は期待外れの展開?~: まとめ
ロイヤリティファーマ(RPRX)のIPO後初の決算結果と内容、株価の推移についてみてきました。
簡単に振り返っていきましょう。
ロイヤリティファーマ(RPRX)の決算の見方は通常企業と異なり、重要なのはAdjusted Cash Receipts(売上)Adjusted Cash Flow(営業利益)の成長率。
2020年第2四半期のAdjusted Cash Flowは前年同期比+47%だった為、好決算でした。
一方で、ロイヤリティファーマ(RPRX)の株価は、好決算だったにも関わらず短期的にはズルズルと下げている状況が続いています。
ロイヤリティファーマの売上成長率は6~7%程度と、Saas銘柄のような派手で急速な成長や株価の暴騰は予想されておらず、ビザ(V)のように中長期的にジワジワと上昇していく事が予想されています。
IPOしたばかりではあるが、配当が出る事も魅力の1つ。
配当はまだ出ませんが、2020年9月にナスダックに上場したグッドアールエックス(GDRX)もロイヤリティファーマのようにIPO時点で黒字化を達成している優良企業です。
>>>【米国のIPO2020年優良銘柄】 グッドアールエックス(GDRX)の魅力
以上、ロイヤリティファーマのIPO後初決算と株価の推移~2020年第2四半期決算結果は良好も株価は期待外れの展開?~でした!!