SPAC銘柄の買い時は?米国株を事例に株価の動きを徹底調査

  • 2021年1月16日
  • 2021年5月20日
  • US.STOCK

本記事は、私自身が米国株投資を行う中で、新たに学んだ内容や当時の状況について記録する事を目的として纏めています。

 

【想定読者】 株式投資初心者・米国株投資初心者・これから株式投資を検討している人

 

米国株投資を行う中で、2020年はSPAC上場をする銘柄が多くありました。

 

よって、本記事では「SPAC(スパック)とは何か?」「どういう仕組みで動いているのか?」「SPAC銘柄の上場後の株価推移は?」という内容を記事に纏めています。

 

本記事を読む事で、SPAC(スパック)とは何かを理解し、米国株のSPAC銘柄の上場後の株価推移を知る事ができます。そして、今後も出てくるSPAC銘柄への投資判断の参考にする事ができます。

 

SPAC銘柄の買い時は?米国株を事例に株価の動きを徹底調査

SPAC(スパック)とは?:2020年の米国株は空前のSPACブーム

SPACとは?米国株事例

SPAC(スパック)とは、Special Purpose Acquisition Comapanyの略語で、日本語では特別買収目的会社と言います。

 

買収を目的に設立されたペーパーカンパニーで、実態・中身のない会社が、将来性の高い魅力ある未公開企業を買収する為の会社です。なので、「空箱」「ブランクチェックカンパニー」ともいわれています。

 

SPACの特徴として、IPOと比べて簡単かつ短期間で上場・資金調達が可能な為、手軽に上場できる手段の1つとして近年右肩上がりで増加しており、特に2020年の米国株は空前のSPAC上場ブームでした。

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実際、2020年には「210」ものSPAC(特別買収目的会社)が上場しています。

 

「2012年から2019年の7年間で、SPAC(特別買収目的会社)の上場数が203だった」事を考えると、「2020年の1年間のSPAC上場数がどれだけ凄かったのか」が分かります。

 

特に2020年は新型コロナウイルスのパンデミックにより、予定されていたIPOが延期や中止になる事で、IPOの代替手段としてSPAC(特別買収目的会社)が注目され、SPAC上場件数が加速度的に増えたとされています。

 

ただ、一方でSPAC上場した「210」のうち57%の銘柄の株価は、上場後にIPO価格を下回っている事実もあります。

 

個人投資家にとっては、従来であれば、富裕層や機関投資家などの限られた投資家しか参加できない未公開株式(プライベートエクイティ)に、少額で参加できますが、SPAC銘柄投への資が必ずしも成功するとは限らず、むしろハイリスク・ハイリターンである事が分かります。

 

なので、単に「流行ってるから」・「安いから」という理由で安易にSPAC投資するのではなく、リスク回避のためにしっかりと一次情報を確認しにいく必要があります。

 

SPACのIPO情報は、オンライン公開データベースのEDGARのForm-8Kに記載があります。

 

>>>EDGARの使い方~米国株の情報収集に欠かせないSECのオンラインデータベース~

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SPAC(特別買収目的会社)の仕組み

SPAC(特別買収目的会社)の仕組み

SPAC(スパック)の仕組みを簡単にみていきましょう。

 

SPAC(スパック)の仕組みについて、次のように簡単に図式化してみました。

SPACの仕組み

 

基本的にはSPAC上場、買収、上場の3ステップとなります。1つずつ見ていきましょう。

 

SPACの仕組み①:SPAC設立・上場&資金調達

まずは、SPAC(特別買収目的会社)を設立・上場し、買収の為の軍資金として資金調達を行います。

 

SPACの設立や運営者は、ベンチャーキャピタルや著名な投資家、大手企業の元経営幹部などの投資や事業のプロである事が多く、SPAC上場後に、買収企業を選定していきます。

 

買収先の選定においては、将来性のある未公開企業を見極める目利き力、事業をドライブし成長させる自信のあるプロが関与しているというのがポイントです。

 

買収先が決まるまでの間、投資家は買収対象がどこになるかはわからない状態の為、SPAC(特別買収目的会社)の株価は$10で推移します。

 

つまり、個人投資家がSPACに投資する際は、$10が株価の底値であるという事になります。

 

集めた資金は100%キャッシュで保管されるような形になります。

 

SPACの仕組み②:SPACが未公開企業を買収

SPAC(特別買収目的会社)は、期間内に選定した将来有望な未公開企業を、調達した資金を使って買収します。

 

一般的に、SPAC設立後は、12~18か月以内に買収先を公表し、24か月以内に買収を完了させます。

 

万が一、期間内に買収先が見つからなかった場合は、SPACは解体され、調達された資金は返還されます。

 

SPACの仕組み③:被買収企業として存続するケースが多い

 

SPACによる未公開企業買収後は、買収された企業、つまり被買収企業の社名(ティッカーシンボル)で存続するケースが多いです。

 

上記の一連の流れについて、具体例を見ていきましょう。

SPACの仕組み:ローズタウンモーターズ(RIDE)のケース

ゼネラル・モーターズ(GM)が使用していた工場でEVトラックを製造するEV(電気自動車)メーカーのローズタウン・モーターズ(RIDE)がSPACに買収(この場合は合併契約)されたケースを例にみていきましょう。

 

SPAC銘柄として有名なローズタウン・モーターズ(RIDE)の例でいうと、まず、ダイアモンドピーク(DPHC)というSPAC(特別買収目的会社)を設立しています。

 

そしてダイアモンドピーク(DPHC)という買収の為だけに作られた中身のない会社をナスダックに上場させ、機関投資家や個人投資家らから資金調達を行い、$5億ドル(約530億)を調達。

 

通常の資金調達で賄えなかった分は、PIPE(Private Investments in Public Equities」と呼ばれる手法、いわゆる上場会社による私募増資で、ゼネラルモーターズ(GM)から$7,500万(約80億円)を調達しています。

 

2020年6月にダイアモンドピーク(DPHC)が調達した資金でローズタウン・モーターズ(RIDE)を買収し、買収後はローズタウン・モーターズ(ティッカーシンボル:RIDE)として存続、上場企業となりました。

SPAC銘柄の買い時は?: 米国株のSPAC上場事例と株価推移

SPAC銘柄の買い時:米国株の事例と株価推移

SPAC銘柄の買い時はいつが良いのでしょうか?

 

結論から言うと、個人的には上場直後が一番の買い時だと思います。

 

そう思う理由について、SPAC銘柄として米国株式市場に上場した企業の株価推移について、3つのSPAC銘柄を例に具体的に見ていきましょう。

 

  1. ヴァージンギャラクティック(SPCE)
  2. 二コラ(NKLA)
  3. ドラフトキングス(DKNG)

 

いずれも耳にした事がある企業かもしれません。順番に見ていきましょう。

 

SPAC銘柄の株価推移①:ヴァージンギャラクティック(SPCE)

SPAC銘柄のヴァージンギャラクティック(SPCE)は、ヴァージングループ創設者で会長のリチャード・ブランソンが手掛ける米国の宇宙旅行会社で、宇宙飛行産業では世界初の上場企業です。

 

2019年10月25日に、SPAC(特別買収目的会社)であるソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングス(IPOA-U)と合併し、ヴァージンギャラクティックホールディングスとして、上場。

 

2019年10月28日にヴァージンギャラクティック(SPCE)はニューヨーク証券取引所に上場し、上場後の初日の株価は$11.8でした。

 

ヴァージンギャラクティック(SPCE)上場後の株価の動きは下記のチャートの通り。

SPCE株価推移

 

上場後は、しばらく下げが続いた後に一気に急上昇し、上場後初値段の約3倍近い$33.8付近まで高騰しています。

 

その後は、乱高下を繰り返し、2021年1月時点では$25あたりを推移している状況です。

 

ヴァージンギャラクティック(SPCE)のケースでは、上場直後にインした場合、一定期間含み損状態が続きますが、中長期的には上場直後が最も勝率の高いタイミングでした。

 

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SPAC銘柄の株価推移②:ドラフトキングス(DKNG)

SPAC銘柄のドラフトキングス(DKNG)は、映画関係者のジェフ・サガンスキー氏とハリー・スローン氏らが創業したデジタルスポーツやオンライン上でのスポーツカジノを運営する米国企業です。

 

SPAC(特別買収目的会社)として設立されたダイヤモンド・イーグル・アクイジション(DEAC)が、資金調達の末、ドラフトキングスを買収。買収後は、被買収企業の社名を引き継ぎドラフトキングス(DKNG)にしています。

 

ドラフトキングス(DKNG)は2020年4月25日にナスダック上場。上場のタイミングで、オンラインカジノの技術・ソフトウェアを展開する「SB テック」を買収しています。

 

ドラフトキングス(DKNG)の株価推移は下記の通り。

ドラフトキングス株価推移

 

上場初日から株価は好調で、上場3日目のプレマーケットの段階で当時の高値$20.75をつけています。

 

 

その後、株価は右肩上がりで上昇しているので、ドラフトキングス(DKNG)のケースでも、上場直後にインするのが、勝率の高いタイミングでした。

 

ただ、上場後に2回の公募増資(2020年6月18日と10月7日)を行い、資金調達を行っています。公募増資の売出価格付近、もしくは売出か価格を割れる水準まで落ちているので、そこで新規買いor買い増ししても勝率は高そうです。

 

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SPAC銘柄の株価推移③:二コラ(NKLA)

SPAC銘柄の二コラ(NKLA)は、米国の新興EV(電気自動車)メーカーの1つで、水素燃料電池を用いたピックアップトラックを製造する事で注目を集めている中で、SPAC(特別買収目的会社)による買収で上場した企業です。

 

二コラ(NKLA)は2020年6月4日にナスダックに上場。

 

二コラ(NKLA)の株価推移は下記の通り。

二コラ(NKLA)株価推移

二コラ(NKLA)の株価は上場後、$79.7まで急上昇。

 

その後、過熱感が高かった株価はズルズル下げていましたが、9月初旬に世界的な大手自動車メーカーGMと新興EVメーカー二コラ(NKLA)の業務提携が噂され、株価上昇のきっかけになると期待されていました。

 

そんな矢先、二コラ(NKLA)創業者兼会長のトレバー・ミルトン氏の詐欺、セクハラ疑惑が次々と発覚し、告発される事態に陥り、トレバー・ミルトン氏は電撃辞任。

 

そして、2020年9月30日には二コラ(NKLA)とGMの業務提携話は白紙になりました。

 

9月の1か月間だけでGMとの業務提携ニュース、詐欺・セクハラ疑惑、業務提携解消ニュースが発表され、1か月間で株価が暴落したドタバタの二コラ(NKLA)劇場でした。

 

二コラ(NKLA)のケースで分かった事は、いくら経験豊富でビジネス目利き力の高いSPAC設立者でも、二コラ(NKLA)のような結末は予想できなかったという事になります。

 

二コラ(NKLA)は上場後、滑り出しは順調だったので、高値で売り抜けられれば良かったのですが、もし長期ホールドしていた場合、損失リスクは高かったと思います。

 

二コラ(NKLA)のケースは、上場直後にインした場合、瞬間風速的に利が乗りますが、継続してホールドしていた場合は、大きく損するリスクが高い事がチャートから分かります。

 

SPAC投資の難しさを感じさせる出来事でした。

 

将来の大化け銘柄を探すという意味では、「今、市場で注目されている銘柄」「投資家に人気のある銘柄」を定期的に情報配信してくれる情報ツールを利用するのも1つの手段です。

 

>>>モトリーフール:米国株の情報収集に欠かせない情報源の1つ【損したくない人向け】

 

SPAC銘柄の買い時は?米国株を事例に株価の動きを徹底調査:まとめ

SPAC(スパック)とは、ベンチャーキャピタルや著名な投資家、元経営者らが将来性の高い魅力ある未公開企業の買収を目的に設立された実態・中身のないペーパーカンパニーの事です。

 

SPAC(特別買収目的会社)は上場後、12~18か月の間に買収先を選定し、24か月以内に買収を完了させ、通常は被買収企業の社名(ティッカーシンボル)を引き継いで上場と事業を継続します。

 

2020年は新型コロナウイルスのパンデミックの影響もあり、米国におけるSPAC上場は過去最高を記録し、最近注目されている上場手段の1つです。

 

本記事内では、SPAC上場を行った米国株を3つ取り上げて、上場後の株価推移や背景を紹介してきましたが、3つの銘柄の株価推移をみる限りでは、SPAC銘柄の買い時は、上場直後が一番安全だと考えられます。

 

ただ、二コラ(NKLA)のようなケースもあるという事、SPAC上場した銘柄のうち約半数がIPO価格を割れている事実もある事を踏まえると、通常の投資よりも難易度は高い気がしますね。

 

2021年は、「空飛ぶUBER」のようなドローンビジネスを手掛けるBLADE(ブレード)を買収したSPACのエクスペリエンスインベストメント(EXPC)を試しに購入しています。

https://twitter.com/twin_papariman/statuses/1348860164804288512?s=20

 

EXPCがBLADE(ブレード)に切り替わるタイミングで、いったんEXPCを手放し、BLADE(ブレード)にインしたいと考えています。

 

>>>【米国株】BLADE(ブレード)の魅力~2021年上場のSPAC優良銘柄~

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以上、SPAC銘柄の買い時は?米国株を事例に株価の動きを徹底調査でした!!

SPAC銘柄の買い時は?米国株の株価推移を徹底調査
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